2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 直久 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 重力レンズ / クエーサー / 銀河 / 銀河団 |
Research Abstract |
昨年度同様、過去最大の重力レンズクエーサーカタログの作成を目指し、国際共同観測プロジェクト「スローン・ディジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」のデータにおける重力レンズクエーサーの探索を行った。米国ハワイ州のケック望遠鏡、チリのマゼラン望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡などを用いた追加観測の結果、SDSS J0246-0825、SDSS J1021+4913という2つの新しい重力レンズクエーサーの発見に成功し、これらの発見を雑誌論文にて報告した。また、この研究の過程で発見された(重力レズではない)クエーサー同士のペア(バイナリクエーサー)についても研究を行い、それらが相関関数によって予測されるよりもずっと多く存在することを発見しその報告を行った。さらに、研究代表者が発見した世界初の「銀河団による」重力レンズクエーサーSDSS J1004+4112に対してハッブル宇宙望遠鏡による追加観測を行い、それによってクエーサーの重力レンズの源となっている銀河団によって重力レンズされた遠方の銀河を発見し報告した。またチャンドラX線宇宙望遠鏡による追加観測も行い、レンズ現象を引き起こしている銀河団の質量の推定やレンズされたクエーサー像におけるマイクロレンズ現象を発見しその結果を雑誌論文に提出した。この天体については東京大学マグナム望遠鏡を用いたモニタリング観測も行っており、それと同時に行われた超新星SN2005bfの観測においてこの超新星が通常とは異なる光度曲線に従って減光することを発見しその報告も行った。クエーサーのスペクトル中に現れる吸収線の研究に対しては、レッドシフトが大きく異なるクエーサーペアにおいて遠方のクエーサーのスペクトル中にその片方の(より近くにある)クエーサーによるものと思われる吸収線が見られるという興味深い発見に成功し、現在その成果の研究発表の準備を行っている。
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Research Products
(5 results)