2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 秀明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 一般相対論 / 高次元時空 / ブラックホール / 重力波 |
Research Abstract |
本年度は重力波の研究を主に行った。特に,(i)超新星起源の宇宙背景重力波、(ii)将来計画として現在議論されている宇宙空間配置型重力波干渉計(LISA)を使った場合に、背景重力波の非等方成分がどの程度まで観測可能かどうか、(iii)DEICOG, BBO, FP-DECIGOといった次世代宇宙重力波干渉計を考えた場合について、干渉計の性能およびこの干渉計によって到達できる物理的発見についての議論、などについて研究を行った。 (ii)の研究は、昨年から続けている一連の研究を、推し進めたものである。今回の研究では、LISAをつかって背景重力波を観測した時にどのような全天地図が描けるかについて詳細な研究を行った。これはCOBEやWMAPといった光を使った観測によって得られた全天地図の重力波版に相当するものであり、近い将来に重力波観測を通じて我々が手にすることになる地図を予言したものである。 次世代宇宙重力波干渉計はその設計概念についての議論が現在進行している研究領域である。そこで、私は具体的な干渉計の設計を用いて、それぞれの設計でどの程度の背景重力波を探査できるのか、また非等方成分を探査する際の、理論的な枠組みについての考察を与えた。こうした議論は次世代宇宙重力波干渉計を議論するうえで、重要な理論的枠組みを与えるものと考えられる。 上記以外の研究として、高次元時空におけるブラックホールおよびブレーンワールドモデルについての研究も行った。前者においては、HarmarkとObersによって提案されたブラックホール・ストリングのトポロジー変化を記述しうる計量を、摂動理的手法により具体的に解いた。これにより摂動論的に変形されたブラックストリングの状態が解明され、完全に非線形な形で解を構成することへの重要な足がかりができたと考えられる。
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Research Products
(6 results)