2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 秀明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブレーンワールド / ブラックホール / 宇宙論 / 一般相対論 |
Research Abstract |
高次元時空中におけるブラックホールの性質についての研究を行った。ここで考えるブラックホールは(i)ブレーンワールド宇宙論におけるものと、(ii)S1コンパクト化された時空(カルーザ・クラインコンパクト化)におけるブラックホールである。前者においては、数値計算を用いた非摂動的な解析により局在化ブラックホールと呼ばれる新たなタイプのブラックホールの構成に成功し、その性質について詳しく調べた。一方で、4次元ブレーンワールドモデルでは局在化ブラックホールの厳密解が知られている。この厳密解について、ブラックホールの性質について再解析を行った。特に、以前行われた解析ではブラックホールの質量の定義に不確定さがあったが、この点についてより詳しい解析を行った。その結果、質量の定義をどうするべきか、Hawking-Page転移が起こりうることなどを指摘した。(ii)については、S1コンパクト化された時空においてはこれまでブラックストリングと呼ばれるタイプのブラックホールしか知られていなかったが、この研究において初めてブラックホール型の解を構成することに成功した。これにより、ブラックストリング-ブラックホール間の相転移に関する定性的かつ定量的な新たな知見を得ることに成功した。 こうした高次元宇宙論に関する議論は、必ずしも観測可能性と結びつかない場合があるが、将来的な研究の展望を踏まえて、本年度は宇宙背景重力波に関する研究も進めた。特に、宇宙干渉計と呼ばれるタイプの重力波干渉計を用いた場合に、宇宙背景重力波をどのような角度分解能で検出できる等の議論を行った。その結果、重力波干渉計としてLISAを想定するなら多重極子L=8-10が観測限界になることを指摘した。
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Research Products
(4 results)