2005 Fiscal Year Annual Research Report
バナジウム酸化物の金属非金属転移機構解明を目指した第一原理シミュレーション
Project/Area Number |
04J10077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 和磨 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 第一原理計算 / 最大局在ワニア関数 / constrained LDA計算 |
Research Abstract |
本年度は遷移金属や遷移金属酸化物などの解析で重要なパラメータであるオンサイト有効クーロン斥力Uを第一原理的に評価する為の方法論開発を行った。Uは最大局在ワニア関数より定義されるオンサイト占有数についてのconstrained LDA計算を実行することで求められる。この計算手法のアルゴリズムを開発し、汎用性バンド計算プログラム「東京大学ab initio program package」に組み込んだ。本プログラムを東京大学物性研究所の「SR11000」にて高速稼動させる為のチューニングを行い、結果、計算時間をパソコンを用いた場合に比べて1/40まで短縮化させることに成功した。特に大規模計算を実行する場合に律速となるワニア関数構築部分については計算時間を約1/100まで短縮化できた。本プログラムを3d遷移金属(Sc〜Cu)のオンサイト有効クーロン相互作用Uの評価に適用し、オージェ分光より得られる実験結果と比較したところ、実験に見られるU値の原子種依存性(ScからCuにかけてU値が10eV程度増加する傾向)を再現した。この傾向を理解するため、遮蔽クーロン相互作用に関するモデルを作り、先のU値の原子種依存性が主に各遷移金属のd型局在ワニア軌道の収縮効果から生じていることを明らかにした。以上の結果を論文にまとめジャーナルに投稿した。また、国内外の学会に積極的に参加し研究成果を報告した。 加えて、現在、遷移金属のみならず様々な系のモデルハミルトニアンを構築するための方法論開発を行っている。非経験的モデルの構築・解析は「ダウンフォールディング」と呼ばれ、現行の密度汎関数に基づく第一原理計算では直接的には取り扱う問題(強相関電子系、電子励起状態など)を間接的ではあるが非経験的なやり方で取り扱うための方法として近年注目を集めている。モデルのパラメータは第一原理のバンド曲線及びconstrained計算から得られる局所応答のデータとモデルハミルトニアンに基づく計算結果が一致するように決められる。グラファイトを例にとり、本手法の有効性を調べている。
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Research Products
(2 results)