2004 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核の核構造および超新星爆発による元素合成機構の解明
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04J10082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東山 幸司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD) (60433679)
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Keywords | 核子対模型 / 中重核 / ベータ崩壊 / Ceアイソトープ / バックベンディング |
Research Abstract |
本研究の最大の成果は、今まで理論的枠組みに進展がみられなかった中重核の奇核、奇奇核の研究に対して、新たな枠組みの構築に成功したことである。本研究で提案された核子対模型は完全に核子からなる微視的な理論で、しかも相互作用の回転対称性、粒子数不変性を破らない模型である。従来行われてきた研究では、広い範囲にわたる偶偶核、奇核、奇奇核を同じ枠組みで取り扱うことが困難であったが、この理論により初めてそれが可能になった。研究代表者は核子対模型を用い、質量数130領域の偶偶核、奇核の数値解析を実行し、幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現することに成功した。この研究では多くの偶偶核、奇核を考察の対象にしているので、有効相互作用にかなりの制限が加わっている。その結果、現実の原子核に近い低エネルギー状態の波動関数が得られたことが期待される。ベータ崩壊の崩壊率の計算には波動関数の精度が要求されるため、今後、この研究により得られた波動関数を用い、崩壊率を計算することで今までの理論よりも実験値に近い結果が得られることが期待される。 この領域の原子核では高スピン状態で、核子の単一粒子的な振る舞いによる不規則性(バックベンディング)が現れること知られている。本研究では、核子対模型により、Ceアイソトープのバックベンディングの発現機構を研究した。適切な対相互作用と四重極相互作用を用いることにより、エネルギーレベル、電磁遷移などの実験値を再現した。この原子核は2準粒子を入れた相互作用するボソン模型によっても解析されているが、実験値を十分再現しているとは言えない。研究代表者の計算により、Ceアイソトープのエネルギー及び電磁的性質が再現されたことにより、今後はボソン射影法などを用いて、相互作用するボソン模型でも扱えるようになることが期待される。
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Research Products
(2 results)