2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールドシナリオにおけるインフレーション宇宙論の理論的研究
Project/Area Number |
04J10083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
姫本 宣朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブレーンワールド / D-ブレーン / 重力 |
Research Abstract |
超弦理論によって、予言されるDブレーンワールドについて、より現実的な設定を考え、そのモデルの下で、重力の振舞いについて解析を行った。 申請者はこれまで、Randall-Sundrumによって提唱された5次元ブレーンワールドモデル(RSモデル)の下で、バルクスカラー場を導入し、このスカラー場のダイナミクスによって、ブレーン宇宙にインフレーションが引き起こされることを示した。しかしながら、RSモデルは、純粋に超弦理論から導かれるブレーンワールドモデルとしては、トイモデルの域を脱していない。本来、ブレーンワールドは、超弦理論が予言するDブレーンから、動機付けられたものである。そこで、本研究では、Dブレーンを想定したブレーンワールドモデルを設定し、この高次元時空モデルの中で、観測と矛盾しない宇宙が記述されうるかについて解析した。 Dブレーンワールドの中で、新たにインフレーションや、それを含めた宇宙論を議論するためには、まず5次元時空中の4次元Dブレーン宇宙の重力が、アインシュタイン重力を再現するかについて調べなくてはならない。いったんDブレーンモデルを設定すると、高次元の電磁場に関連したバルク場や通常の4次元ゲージ場を考慮した中で、重力の解析を行わなくてはならない。そこでこれらの場を、RSモデルを用いた背景時空中での摂動量として扱い、Dブレーン宇宙上の重力にどのような寄与を与えるかについて、解析的に評価を行った。その結果、第ゼロ近似、Dブレーン上のゲージ場が、重力と通常の形で相互作用しないことを明確にした(研究発表に記載されている論文)。このような非自明な結果を導くDブレーンモデルの中で、現実的な宇宙モデル、インフレーションモデルを現在模索中である。
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Research Products
(2 results)