2004 Fiscal Year Annual Research Report
高精度CPT検証のための反水素原子を使ったレーザー分光実験
Project/Area Number |
04J10085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船越 亮 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 反水素 / レーザー装置 / CPT対称性 / CERN研究所 / スイス / ATHENA / 分光 |
Research Abstract |
2002年スイス・ジュネーブのCERN研究所にて初めて冷たい反水素原子の大量生成が報告された。これによって初めて反水素原子を使っての本格的な反物質研究の開拓が可能となった。本研究の最終目標はこの反水素原子の内部構造をレーザー装置によってみる(「分光」と呼ぶ)ことで物理の基本法則の一つであるCPT対称性を今までにない高精度で検証することであり、本年度の実験は反水素生成装置をレーザー装置と組み合わせたはその第一段階に当たる。 これまで反水素原子の生成はその構成部品である陽電子と反陽子を長時間混ぜ合わせそれらが自然に結合することを待つ手法をとっていたが、この方法でに作られる反水素原子は研究の対象となる内部構造の制御がされていないため次のレーザー分光へと研究を繋げることが困難である。その画期的解決案としてレーザー装置によって陽電子を人工的に反陽子内の狙った場所にたたき落とすことで内部構造の制御された反水素原子を作るという従来にないレーザー誘導生成手法を提案、挑戦した。 実験は従来通り反陽子と陽電子を混ぜ合わせそこに新たにレーザー光を照射する手法を採るが、数ある案の中で最善の結果を出すべくビームタイム前にモデル計算によるシミュレーションを詳細に行った。ビームタイム開始以前に現地入りをして超高真空・極低温下という環境と精密に動作している他の装置に対してレーザーによる影響を最小限に抑えるよう既存装置への改良を慎重に行った。半年に渡る長期ビームタイム中は現地にて実験参加をし、デリケートの装置の操作に苦心しながらデータ収集に尽力した。その後データ解析を行い現在までのところ当初目論んでいた形とは異なり、レーザーによる物理的な影響を含め実験を内部構造を複雑化してしまうの存在などシミュレーションでは追いきれない不測要素の存在が重要で、装置内部で予想より複雑なことが起こっているところまで解析が進んでいる。現在も引き続き解析が行われ、この内容は近く論文にまとめられ出版される予定である。
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Research Products
(1 results)