2004 Fiscal Year Annual Research Report
頂点作用素代数を用いたMckay observationの解明
Project/Area Number |
04J10135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 数理科学 / 頂点作用素代数 / モンスター単純群 |
Research Abstract |
本研究の目標はモンスター単純群の2AインボリューションとE8型Dynkin図形の間のMcKay observationを項点作用素代数を用いて解き明かすことである。モンスターの2Aインボリューションとムーンシャイン頂点作用素代数における中心電荷1/2の有理型共形元の間には一対一対応があるため、McKay observationに挑むにあたってはまず中心電荷1/2の有理型共形元を調べることが重要と考えられる。そこで、√2E8型格子に付随した格子頂点作用素代数を考えた場合、中心電荷1/2の有理型共形元がE8型ルート系を用いて自然に構成できる点に注目し、この共形元の性質を調べた。その結果、√2E8型格子に付随した格子頂点作用素代数において二つの共形元が生成する部分代数はウェイト1の部分空間を持たず、それゆえそのウェイト2の部分空間にはいわゆるGriess代数の構造が入ることが分かった。今回の研究で得られたGriess代数はムーンシャイン頂点作用素代数に付随するGriess代数の部分代数になっていることも示した。これはモンスターの2AインボリューションとE8型Dynkin図形の関係が確かなものであることを強く示唆する結果である。この研究を通じて、√2E8型格子に付随する格子頂点作用素代数の持つ対称性とムーンシャイン頂点作用素代数の持つ対称性との間に明確な関係があることを明らかにできた。ここまでに得られた結果はMcKay observationを解明する上で最初のステップになることを期待しており、Transactions of the AMSに論文で発表した。 McKay observationには他にも興味深い問題があり、その一つにモンスターの2つの2Aインボリューションの中心化群に関する考察があげられる。この問題に関して、頂点作用素代数の対応物であると期待される√2E8型格子に付随する頂点作用素代数の交換団部分代数を調べ、その自己同型群を決定した。この研究も引き続き行い、McKay observationとの関連を明確にし、いずれ論文にて発表する予定である。
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Research Products
(2 results)