2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動量写像に関するコホモロジー理論の一般化及び平坦バンドルのモジュライへの応用
Project/Area Number |
04J10136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 尚彦 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | moment map / symplectic geometry |
Research Abstract |
n次元実トーラスの効果的なHamilton作用をもつコンパクト,連結な2n次元シンプレクティック多様体はDelzant空間(またはシンプレクティックトーリック多様体)と呼ばれ,非常によく研究されている. Delzant空間はトーラス作用の運動量写像の像である凸多角形で分類され,特にこの凸多角形の組み合わせ的データから元のDelzant空間を復元したり,コホモロジーや同変コホモロジーなどのトポロジカルな情報を読み取ることができる. 一方,ある意味で,局所的にはDelzant空間と同相な構造をもつ多様体(もしくはV多様体)も存在するが、これについての研究は行われていない.そこで,今年度はこの構造を持つ多様体(ねじれトーリック多様体ということにする)を考察した.このような多様体は多くの例を構成でき,特にDelzant空間との顕著な違いとして,基本群が自明でない例やシンプレクティック構造を許容しない例を数多く見つけた.また,いくつかの場合についてコホモロジー,同変コホモロジー等についての考察を行った. Delzant空間はトーラス作用のシンプレクティック商として構成できるのに対し,ねじれトーリック多様体は局所的にはそれぞれ異なるトーラスのシンプレクティック商で,それらがうまく張り合い,、ひとつの多様体を構成している.このような考察が,一般のシンプレクティック簡約を局所モデルに持つような新しい理論への第一歩となることを期待している.
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