2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速多重極境界要素法に基づく波動的大規模音響数値予測手法の開発
Project/Area Number |
04J10186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高速多重極アルゴリズム / 境界要素法 / 反復解法 / 数値解析 / 連成解析 / 波動解析 |
Research Abstract |
高速多重極境界要素法(FMBEM)を用い、実用性、汎用性の高い3次元波動音響数値予測手法の構築を目指して研究を行っている。本年度の成果は以下のとおりである。(1)計算時間に直接影響するFMBEM内での反復解法の収束性に関して、数値実験を通して検討した。(標準的な解析問題として(4)で設定した問題を利用。)Krylov部分空間法に属する解法群を取り上げ、非連成音場に対する適性を問題の特徴により整理した。(2)連成問題の基本的なものとして、空間を部分領域に分けて解く領域分割法に対するFMBEMの適用性について検討した。従来のBEMと異なり、FMBEMでは行列を生成しないことから直接的な適用は困難であったが、部分領域ごとに音場を解くことを基本とする反復型領域分割法を採用することでFMBEMをほぼ直接的に適用可能とした。基礎的検討として、領域間反復の収束性について検討し、反復回数が解析対象の吸音率設定に依存すること、部分領域の固有周波数が収束に影響を及ぼすこと、収束を改善するための緩和係数の適切な設定が安定した収束に不可欠なことを明らかにした。(3)音場解析において頻繁に取り上げられる無限大剛面上の問題について、FMBEMに特有な階層セル構造を利用した効率化手法を構築した。ケーススタディにより精度・効率の両面から手法の妥当性を検証した。(4)FMBEMの性能評価、及び既存の各種手法に対する位置づけを目指して、主に非連成音場のためのベンチマーク問題の設定を行った。また、同一問題の解析により他の数値解析手法との比較を行った。本活動は日本建築学会 環境工学委員会 音環境小委員会 音響数値解析WGでの活動を通して行われた。(5)FMBEMによる適用研究として、建築音響における古典的問題である室の拡散性と残響時間の関係性に関する研究を行った(本研究にて日本音響学会粟屋潔学術奨励賞を受賞)。
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Research Products
(7 results)