2004 Fiscal Year Annual Research Report
副格子の自由度を持つ結晶構造における新奇な強相関物性の開拓
Project/Area Number |
04J10203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大串 研也 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁性 / 高圧合成 / 単結晶育成 |
Research Abstract |
MgSiO3系におけるolivine-spinel-perovskiteの高圧変態に着目し、温度圧力相図に現れる種々の構造における電子物性の研究を行った。 低圧側の結晶構造であるolivine構造を持つ硫化物Mn2GeS4,Fe2GeS4の単結晶の育成に初めて成功した。その結果、異方的な磁気特性の測定が可能となった。磁気イオンがFe2+の場合は反強磁性に転移した後、磁化容易軸をb軸からa軸に変化させ、それに伴い弱強磁性が発生することが明らかとなった。磁気イオンがMn2+の場合は、かつて信じられていたような、弱強磁性から反強磁性への熱力学的な相転移は存在せず、クロスオーバーであることを明らかにした。転移温度付近で見られる、弱強磁性は熱揺らぎにより生じていると考えられる。磁気対称性の議論から、磁気構造はFe,Mn両者の系で、三角格子を構成要素とする擬一次元鎖内で強磁性をなしていることが推論され、これは平坦バンド強磁性の可能性を示唆している。 spinel構造の高圧側にはpost-spinel構造と呼ぶことの出来るトンネル構造が存在する。不純物を含んでいないCuRh2O4が同様の構造を取ることを初めて見出し、高圧下で単相試料の合成に成功した。磁気的性質をスピネル構造を持つ同組成式を持つ物質と比較することで、スピネル構造のAサイトにおける幾何学的フラストレーションの存在を明らかにした。 最近、地球科学の分野で話題を集めているpost-perovskite構造を持つ物質CaIrO3の単相試料の合成に初めて成功した。転移温度110Kの弱強磁性体であるMott絶縁体であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)