2005 Fiscal Year Annual Research Report
DIB候補である非直線炭素鎖分子の高感度・高分解能レーザー分光
Project/Area Number |
04J10224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 光典 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 炭素鎖分子 / 分光 / DIB / 超音速ジェット / 分子構造 / propadienylidene |
Research Abstract |
星間物質による可視光領域の吸収線であるDiffuse Interstellar Bands (DIBs)は、どのような分子によるものか、今日まだ明らかにされていない。本研究はそれを解明することを目標としている。非直線炭素鎖分子は有力なDIBs候補のひとつである。これら分子をパルス放電超音速ジェットにより生成し、Cavity Ring Down (CRD)分光法で可視領域の高分解能スペクトルを測定した。得られたスペクトルを用いて、DIBsの帰属を試みた。また、スペクトルの回転構造解析から精密な分光定数と分子構造を得た。 1、propadienylidene(C_3H_2)の電子遷移において、新たな振動バンドを2つ測定した。これまで、この分子がもつ強い電子遷移のひとつが、DIBsの候補と考えられていた。しかし、今回の測定により、その電子遷移は励起状態の寿命が短いためにスペクトルが変化し、DIBsの候補として適さないことが明らかになった。分光学的には、得られた回転スペクトルの精密な解析を行い、分子構造を決定した。 2、非直線炭素鎖分子のカチオンであり、以前報告したH-C≡C-C≡C-CH=CH_2^+の構造異性体でもあるtrans-H-C≡C-CH=CH-C≡C-H^+の検出に成功した。回転構造の輪郭の解析により、分光定数と分子構造を明らかにした。そして、DIBsとの比較検討を行った。 3、400nmの帯に検出された未同定炭化水素分子のスペクトルの回転構造解析を行った。その結果このスペクトルは、分子イオンCCCCH_3^+であることがわかった。この分子は、これまで実験室で検出されたことが無く、新しいこの分子である。分子構造を、分子軌道計算と回転構造解析の両方を用いて明らかにした。
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