2006 Fiscal Year Annual Research Report
DIB候補である非直線炭素鎖分子の高感度・高分解能レーザー分光
Project/Area Number |
04J10224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 光典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 炭素鎖分子 / 分光 / DIB / 超音速ジェット / 分子構造 |
Research Abstract |
星間物質による可視光領域の吸収線であるDiffuse Interstellar Bands(DIBs)は、どのような分子によるものか、今日まだ明らかにされていない。本研究はそれを解明することを目標としている。非直線炭素鎖分子は有力なDIBs候補のひとつである。 今年度は、非直線炭素鎖分子とそれに関連する直線炭素鎖分子に着目した。炭素だけからなる分子から硫黄や窒素原子を含む分子まで、多くの分子について探査を行った。実験では、これら分子をパルス放電超音速ジェットにより生成し、LIF分光器を用いて可視領域の高分解能探査を行った。 その結果、炭素鎖分子であるC_3の新しいスペクトル線を、29500-31000cm^<-1>領域で検出できた。特に、30000cm^<-1>付近に、これまで検出されていない禁制遷移のバンドを検出した。これにより、C_3の新しい電子状態の存在が実験的に明らかになった。C_3の電子遷移は、星間空間で検出されており、C_3はDIBsの原因となっている星間物質と関連が深い分子である。そのため、これらのスペクトル線の観測は、C_3の分光学的知見(電子状態、分子力場、分子構造)を与え、DIBsを解明するための基礎データとして活用できる。 さらに、生成条件の厳しい非直線炭素鎖分子を測定するためには、既存のCRDおよびLIF分光器の感度向上が必要である。そこで、ノイズの除去ができるようにソフト面の装置改良を行い、分光器の感度を向上させた。
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