2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 理一郎 東京大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / アルキニル化反応 / 連続型反応 / React-IR / ESI-Mass |
Research Abstract |
1.これまでほとんど触媒的不斉合成に用いられることのなかったインジウム錯体に着目し、その反応性を調査した。その結果、3級アミン存在下、インジウムトリフラートが末端アルキンのケトンに対する付加反応を触媒することを見出した。アルデヒドに対する付加反応は数例報告されているものの、反応性の低いケトンではほとんど成功例はなく、本反応の触媒的不斉化は有用生理活性物質の合成における強力な方法論となる可能性を有する。種々検討の結果本反応は環状ケトン以外の基質には適用困難であることが明らかとなったため、それ以上の検討を断念した。現在、共同研究者により行われたアルデヒドを基質とする反応の成果と共に論文投稿中である。 2.柴崎研究室では、既にα,β-不飽和アミドの触媒的不斉エポキシ化反応を報告している。その展開として、新規連続型触媒的不斉エポキシ化-位置選択的エポキシド開環反応の開発に成功した。第一段階のエポキシ化反応の反応系中に直接求核剤を添加することにより生じる、希土類金属錯体のダイナミックな構造の変化(配位子交換)が本反応開発の鍵であり、新たに生成する錯体が続く位置選択的エポキシド開環反応を進行させる活性種であると考えている。そこで分光学的、及び速度論的手法を用いた、反応系中における錯体構造変化の観測を行った。まずエポキシ化反応の反応溶液中にTMSN_3を加え、React-IRを用い解析を行った結果、2072cm^<-1>に新たなアジド基由来の吸収を観測した。DFT計算結果との比較から、反応系中にサマリウムアジド種の存在が示唆された。更に反応溶液を直接ESI-Massにて測定したところ、アジド基を2つ含むサマリウムアジド種の存在が確認された。これらの実験結果は想定した希土類金属の配位子交換を強く支持するものであり、他の求核剤(TMSSPh, TMSCN)の結果を含め、最近アメリカ化学会Journal of the American Chemical Society誌に報告した。
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Research Products
(1 results)