2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 理一郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 触媒的不斉エポキシ化反応 / α、β-不飽和エステル / 希土類金属触媒 / イットリウム / ビフェニルリガンド |
Research Abstract |
柴崎研究室ではこれまで、希土類金属、BINOL、トリフェニルアルシンオキシド、TBHPからなる新規な希土類金属触媒を創製し、α,β-不飽和ケトンもしくはアミドに対する触媒的不斉エポキシ化反応において良好な結果を得ている。光学活性α、β-不飽和エステルは天然物、医薬品合成における重要なキラルビルディングブロックであるため、本反応の重要性は広く認知されているにもかかわらず、一般性の高い反応の報告例はなかった。そこで今回α、β-不飽和エステルに対する反応を検討した。 まず従来の触媒系を用いて反応を行ったところ、α、β-不飽和エステルに対しては、本触媒系は活性が低く、反応性の点で大きな問題があることが判った。添加剤や中心金属の変更による触媒のチューニングを行ったが、改善は見られなかった。 種々検討の結果、これまで本触媒系に用いてきたBINOLを、酸素原子をリンカーとして有する新規ビフェニルリガンドに変更し、中心金属としてイットリウムを用いることで、本反応においても非常に高い反応性、選択性を獲得することに成功した。本反応はγ位にアルキル基を有する基質、芳香族を有する基質に対しても問題なく進行し、分子内にオレフィンを有する基質においても、目的の位置のみ反応した生成物を得ることができることから、非常に一般性の高い反応であると考えられる。 リンカーの長さ及び構成元素が反応性に大きく影響することがわかっているものの、その詳細な役割に関しては明らかになっていない。現在リンカーブの役割に関する詳細な研究を行っている。
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Research Products
(1 results)