2005 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリのカーストによる栄養生理の相違と特異的栄養の利用システム
Project/Area Number |
04J10266
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Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
東山 愛 (藤田 愛) 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロアリ / カースト / 栄養生理 / 遺伝子発現 / 表現型多型 |
Research Abstract |
分解系の研究の一翼として、シロアリ類の栄養生態学はここ10年ほどで急速に進展している。シロアリ類の社会性の進化を理解する上でも、シロアリの生息現場と強く結びついた栄養生態学的な知見が強く求められている。シロアリの消化生理に関するこれまでの研究はワーカーを材料にしたものがほとんどで、ソルジャー等他のカーストに属する個体の消化システムに関してはほとんど研究例がない。南西諸島に生息するオオシロアリは飼育が比較的容易であるうえ、シロアリ目の中では比較的大型であるため、解剖などを伴う実験においても扱いやすい。これまでに行われた実験により、オオシロアリにカーストによる栄養生理の相違が見られる事が明らかになっている。 本研究では、このオオシロアリに加えてタカサゴシロアリも主な材料としてカースト間で消化管の構造や、消化酵素の活性、それをコードする遺伝子の発現量の総合的な比較を行った。その結果、セルラーゼの活性はソルジャーとワーカーで大きく異なり、この違いは主にセルラーゼ遺伝子の転写レベルで制御されていることが明らかになった。またシロアリによってセルラーゼの分泌部位は異なるが、実験に利用した2種それぞれのセルラーゼ分泌部位に、形態の違いが認められた。これらの成果は日本動物学会第76回大会で報告し、現在論文を準備中である。
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Research Products
(2 results)