2005 Fiscal Year Annual Research Report
嗅細胞軸索の標的糸球への選択的投射を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
04J10320
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 文昭 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経科学 / 嗅覚系 / 軸索投射 / 標的認識 |
Research Abstract |
本研究は、嗅細胞軸索が標的糸球へと投射する分子機構の解明を目的としている。"マウス嗅球表面に存在する約2000個の糸球は、そこに発現する膜タンパク質の組み合わせの違いによって区別できる"という仮説を検証すべく研究を進めている。 平成17年度は、ロイシンリッチリピートファミリーに属する膜タンパク質の一つである5T4の研究を進めた。5T4は研究代表者が行ったプロテオーム解析により、嗅球糸球層における発現が明らかになった分子であり、嗅球抑制性介在ニューロンである傍糸球細胞および顆粒細胞のサブセットに発現している。本研究を通して5T4を発現する顆粒細胞が嗅球外叢状層の表層領域に特異的に樹状突起を伸展させていることが明らかになった。また当該領域は嗅球投射ニューロンの一つである房飾細胞が主に樹状突起を伸展させている領域でもあることから、5T4が顆粒細胞-房飾細胞間の選択的なシナプス形成に関与しているという考察を行い、研究結果を2006年のThe Journal of Comparative Neurology誌に発表した。 さらに本年度(2005年10月)より米国Yale大学、Greer教授との共同研究を開始した。Greer教授は、様々な遺伝子改変マウスや電子顕微鏡などを用いて、嗅細胞軸索が嗅球へと投射していく過程や嗅球糸球の形成過程を精力的に研究しておられる研究者であり、共同研究は研究代表者が渡米し、Greer教授の持つマウスや装置を使用させてもらう形で行われている。本共同研究を通して嗅細胞軸索が標的糸球へと投射する分子機構の解明にさらに近づけるものと期待される。
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Research Products
(1 results)