2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域の人類集団における自然選択と人口学的歴史に関する研究
Project/Area Number |
04J10328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 亮介 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アジア太平洋 / DNA多型 / 連鎖不平衡 / 自然選択 |
Research Abstract |
本研究では、アジア太平洋地域の複数の集団においてDNA多型の連鎖不平衡を調べることにより、1)連鎖不平衡ブロックの長さと集団サイズとの相関関係を実際のデータから明らかにし、2)オーストロネシア語民集団における移住初期の集団サイズおよびオーストラロイドとの遺伝的交流を推測することを目的とする。また、3)連鎖不平衡のデータから、エネルギー代謝や感染症に関連する遺伝子に働く自然選択を検出することを目指す。 研究に用いるDNA多型の選定には、文献やデータベースを利用した。本年度の研究で、エネルギー代謝関連遺伝子としてβアドレナリン受容体、脱共役タンパク、レプチンおよびレプチン受容体など、感染症関連遺伝子としてインターロイキン-1、ストローマ細胞由来因子などの遺伝子における一塩基多型をタイピングし、トンガ人、ソロモン諸島人、インドネシア人など複数の集団でアリル頻度を求めた。ポリネシアに位置するトンガの人々は、他集団に比べ肥満の割合が多いが、今回調べたエネルギー代謝関連遺伝子の多型に関してアリル頻度に他集団との大きな違いはみられなかった。また、トンガ人において体格とDNA多型との関連を調べたところ、レプチン受容体遺伝子のQ223R多型と男性のBMIおよびウェストヒップ比に、脱共役タンパク3遺伝子のプロモーター多型と女性のウェストヒップ比に有意な関連がみられた。今後の研究では、さらに調べる多型の数を増やし、多型間の連鎖不平衡を詳細に解析する予定である。
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Research Products
(1 results)