2004 Fiscal Year Annual Research Report
発生過程における神経細胞死の時空間的制御機構の解明
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04J10345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹本 研 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カスパーゼ / 発生 / FRET / ライブイメージング |
Research Abstract |
Gal4発現によりショウジョウバエの組織特異的にカスパーゼindicator SCAT3を発現させるために、UAS-SCAT3トランスジェニックフライを作製した。SCAT3をショウジョウバエembryoやpupaにおいて様々な組織に発現させ、生きたままカスパーゼ活性化を観察するための器官培養法および顕微鏡システムを導入した。その結果、embyoの初期からlarvaeに正常発生していく過程でのカスパーゼ活性化をリアルタイムに観察することに成功した。また、pupaのsalivary glandはAPF15時間前後において、変態ホルモン・エクダイソンによりカスパーゼ依存的に細胞死を起こし、正常発生中に組織自体が除去されることが知られている。こうした巨大な組織の除去が時間的・空間的にいかにして制御されているかを明らかにする目的で、カスパーゼ活性化のライブイメージングを行った。その結果、カスパーゼの活性化はsalivary glandの頭側先端部に存在する数細胞から始まり、カスパーゼ活性が尾側に伝播することを明らかにした。以上のことから、エクダイソンは自由拡散しうる低分子トリガーであるにもかかわらず、salivary glandに対し局所的に情報入力を行っていると考えられた。エクダイソンは細胞死以外にも様々な組織において多様な現象を誘導する多機能分子である。今回発見した現象は、エクダイソン活性を時間的・空間的に限局して制御するために重要な情報入力様式であると考え、今後はその生理的意義をライブイメージングと遺伝学的手法を用いて解析する。
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