2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10353
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 智美 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | メダカ / 肝臓 / 左右軸 / 遺伝子マッピング / 胆嚢 / 発生 |
Research Abstract |
肝臓は、脊椎動物において、恒常性の維持、毒物代謝などの機能を有する器官である。しかしながら、肝臓発生の研究は、実験ツールの不足などにより成体肝研究に比較して未解明な点が多く残されている。私はこれまで、肝発生を分子レベルで解析することを目的として、脊椎動物における肝発生という観点から、科学技術振興事業団(ERATO)の近藤誘導分化プロジェクト(現SORST)において、近藤寿人大阪大学教授、古谷-清木誠博士の下でメダカを用いた肝形成必須遺伝子の網羅的な探索を行ってきた。その結果、13種類の肝臓異常のある変異体を単離することに成功した。現在は、三谷啓志東京大学教授の下でこれら変異体のさらなる解析及び原因遺伝子の解明を進めており、以下に述べるような新たな知見を得ている。 1.kendama (ken)変異体の遺伝子マッピング 南日本集団由来の近交系メダカ(Cab-HD)で得られた、肝臓の左右逆位変異体ken変異体を北日本集団由来の近交系(Kaga)と掛け合わせたF2から、ken変異体のもう一つの表現型である脾臓消失を元にして、表現型を有するホモ変異体(リコンビナント)を400個体以上得た。それらリコンビナントから得られたゲノムと同腹の表現型を有さないSiblingのゲノムとを比較検討し、LG18上にkenの原因遺伝子が存在することを見出した。また、ken遺伝子から3.5cM、0.9cMの距離にある染色体マーカーの単離に成功した。 2.ken変異体の解析 ken変異体が成魚まで生育することが可能であり、そのときの表現型として重篤な脂肪肝を呈することを見出した。脂肪肝発症時の肝臓における各種遺伝子発現の比較をRT-PCR法により確認したところ、肝臓発生における遺伝子発現に差は認められないこと、その一方で脂質代謝に関与する遺伝子群の中にいくつか発現量の変化する分子が存在することが明らかとなった。
|