2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内木 隆寛 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | STAT3 / 肝臓 / 発生 / 再生 |
Research Abstract |
生物の発生過程では、細胞は活発に細胞分裂を繰り返して増殖するが、最終的に分化する際には細胞周期を停止する。STAT3、C/EBPαはマウス肝発生において、分化増殖を制御する重要な因子である。STAT3の下流では、C/EBPαが機能することが示唆されているが、C/EBPαがどのように制御されているか不明である。ショウジョウバエのC/EBPホモログSlboは、STAT92Eにより誘導されること、Tribblesにより負に制御されることが報告されている。哺乳類ではTribblesホモログとしてTRB1〜3が同定されているが、肝発生およびC/EBPαとの関係は明らかではない。マウスの肝臓におけるTRBの発現を解析したところ、TRB1、TRB3は胎生期、成体ともに検出されたが、発現量に差は見られなかった。一方、TRB2の発現は未分化な胎児肝臓ではみられたが、分化した成体肝臓では検出されなかった。また、胎児肝臓を用いた初代培養系においても、分化誘導条件下ではTRB2は減少していた。さらに、TRB2の強制発現により肝細胞への分化が阻害されたことから、TRB2は胎児肝臓において、肝細胞への分化を抑制する分子として機能することが示唆される。次に、部分肝切除後の肝再生期におけるTRBの発現を検討した。その結果、TRB1,TRB3の発現は変化しないが、TRB2は部分肝切除後に誘導されることが明らかになった。また、四塩化炭素投与による肝再生過程においても、TRB2の発現誘導が確認された。さらに、肝癌誘導したマウスの肝臓においてTRB2の発現上昇がみられたことから、TRB2と細胞増殖との関連が示唆される。
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