2005 Fiscal Year Annual Research Report
円石藻の石灰化を制御する酸性多糖の機能、細胞内動態、生合成に関する研究
Project/Area Number |
04J10382
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾崎 紀昭 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 円石藻 / オルガネラ / ゴルジ体 / 酸性多糖 / 生合成 / 石灰化 / 炭酸カルシウム / 有機基質 |
Research Abstract |
円石藻は炭酸カルシウム結晶を主成分とするココリスと呼ばれる燐片を生産し、年間で約1億トンの炭素を固定している。ココリスには特殊な酸性多糖が含まれており、これらの有機基質が結晶形成に関与すると考えられているが、ココリス形成の分子機構は依然として未解明のままである。 ココリスはゴルジ体由来のココリス小胞(CV)で形成されることが既に明らかにされている。しかしながら、CVに存在する有機基質を対象とした研究は皆無である。そこで私はCVを単離し、CVに局在する多糖およびタンパク質を同定することを試みた。本年度より所属した研究室では円石藻の石灰化を促進する生理学的な条件(低温、リン欠乏)を見出している。このような条件下で培養した石灰化が盛んな細胞を回収し、細胞破砕とショ糖密度勾配遠心分離を用いて細胞内オルガネラの分画を行った。分画条件を検討した結果、CVの単離に成功した。現在、CV内に存在する多糖およびタンパク質の精製を行っている。この研究成果は2006年5月に開催されるマリンバイオテクノロジー学会(東京海洋大)で発表する予定である。 また、細胞内における多糖の挙動を調べることによって、多糖のココリス形成への役割を明らかにすることができる。そこで、免疫電子顕微鏡観察を行うことを目的として、円石藻Pleurochrysis haptonemoferaの透過型電子顕微鏡(TEM)用切片を作製した。TEM観察の結果、P. haptonemoferaのCVおよびココリス形成過程の様子が明らかになった。この研究成果は2005年10月に兵庫県淡路で行われた「オルガネラ分化」若手シンポジウム2005で発表した。現在は酸性多糖の局在を調べるためのプローブとなる抗体を作製中である。昨年ウサギで作製した抗体の力価が低かったことを踏まえ、ラットを免疫動物として選択し、多糖とBSAの複合体を抗原に用いた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] A Sclerite formation in the hydrothermal-vent "scaly-foot" gastropod-possible control of iron sulfide biomineralization by the animal2006
Author(s)
Y.Suzuki, R.E.Kopp, T.Kogure, A.Suga, K.Takai, S.Tsuchida, N.Ozaki, K.Endo, J.Hashimoto, Y.Kato, C.Mizota, T.Hirata, H.Chiba, K.H.Nealson, K.Horikoshi, J.L.Kirschvink
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Journal Title
Earth and Planetary Science Letters 242
Pages: 39-50
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