2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物ホウ素トランスポーターの発現制御機構と膜輸送機構
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04J10401
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 順平 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物栄養 / トランスポーター / エンドサイトーシス / チャネル / ホウ素 |
Research Abstract |
ホウ素欠乏および過剰害は、作物の生産性を低下させる農業上の問題点である。植物においてホウ素栄養状態を適切にコントロールするため、植物のホウ素吸収・移行機構の理解が重要である。しかしながら、これまでホウ素輸送の分子的実態は明らかでなかった。私たちは、世界に先駆けてホウ素の積極輸送を担うホウ素トランスポーターBOR1を同定した。私は現在、高等植物におけるホウ素輸送を担う分子の同定と、その制御機構について研究を進めている。 本年度の主な成果は以下の三点である。 1、BOR1タンパク質は低ホウ素条件下で細胞膜に安定に局在するが、高濃度のホウ素の添加により液ほうへ輸送されて分解されることを明らかにした。これは、植物細胞膜タンパク質の栄養条件による分解制御と、液ほうへといたるエンドサイトーシス経路を示した最初の例である。本成果は、Proceedings of the National Academy of Science誌に掲載された。 2、BOR1を過剰発現する形質転換植物を解析し、本植物は体内においてホウ素を効率的に輸送し、低ホウ素条件における生長量と稔実性が上昇したことを示した。本成果は三輪京子氏(東京大学大学院生)、藤原徹氏(東京大学助教授)らと共著にてPlant Journal誌に投稿し、現在再審査中である。 3、低ホウ素条件下で発現が誘導される遺伝子として水チャネル相同タンパクをコードするNIP5;1を同定した。さらに、NIP5;1はホウ酸のチャネルとして機能し、低ホウ素条件下で植物のホウ素吸収と生育に必須である事を示した。本成果は和田素子氏(東京大学大学院生)、藤原徹氏(東京大学助教授)らと共著にてPlant Cell誌へ投稿し、現在再審査中である。 以上の研究は、東京大学生物生産工学研究センターにて行った。
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Research Products
(3 results)