2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における文化産業の形成と展開:音楽産業に焦点を当てて
Project/Area Number |
04J10435
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 修一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 文化産業 / 音楽著作権 / メディア |
Research Abstract |
本年度の研究において行ったことは以下の二点である。第一は、本研究の機軸となる理論的な枠組を発展させることである。そのため、文化産業論の分野における先行研究を整理し、「文化」の社会学およびメディア理論のなかに位置づけることを行った。特に近年発展がめざましい英米の文化産業論(Hesmondhalgh, Negus, Du Gayなど)を集中的に読み込み、アドルノらの古典的な文化産業論との異同を明らかにしつつ、より一般的な文化の生産-消費に関する議論、メディア・テクノロジーに関する議論との接続をはかった。この点については、現在論文を準備中である。 第二に、本研究が具体的な対象とする音楽著作権制度を上記の文化産業論の枠組のなかに位置づけることである。この点に関しては、ソウル大学において行われたシンポジウム「Issues and Tasks of Sociological Research and Education in East Asia」にて、「Copyright as a Device : Through the examination of "Napster Case"」という題目で、著作権制度において現代的な問題となっているデジタルなファイル交換テクノロジーと関連づけながら報告を行った。従来の法解釈学的な枠組に基づいた議論ではなく、メディア・テクノロジーを取り巻く諸アクターの言説、行為がどのように著作権制度を資源として活用し、その関係性のなかで当該のメディア・テクノロジーがどのように社会的存在として形づくられていくのかという視点を提出した。
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