2004 Fiscal Year Annual Research Report
オスマン帝国における歴史叙述及び歴史意識に関する史学史的研究
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04J10439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小笠原 弘幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オスマン帝国 / 歴史叙述 |
Research Abstract |
筆者は、今年度オスマン帝国の修史官制度についての研究を行った。修史官制度は、18世紀初頭に設立され、20世紀初頭のオスマン朝滅亡まで継続した役職であり、オスマン朝の公式の歴史を書きつづった。本研究では、特にその形成期に焦点を当てた。 まず、「オスマン朝における「修史部局」の位置づけ-「修史部局」分類に属する文書・台帳群の調査から」では、トルコ共和国における現地調査の成果を生かし、トルコの総理府古文書館に収められている修史官関連文書を調査、位置づけた。その結果、従来自明視されてきた「修史官部局」は、実際には存在しなかったのではないかという視点を打ち出すことができた。 「オスマン朝修史官の叙法」は、初期修史官の歴史叙述の方法や歴史意識を比較し、修史官制度成立に当たって求められた修史のありようを明らかにしたものである。そこで得られた結論は、修史官の歴史叙述は、支配者の正当性の主張を行うことが求められており、史論の展開や現状批判は徹底的に排除されたと言うことが明らかとなった。 また、書評論文として「ヒース・W・ローリー著『初期オスマン国家の性質』」も執筆している。 学会発表としては、「オスマン朝独立の言説をめぐって」第20回日本中東学会(於明治大学、2004年5月9日)、及び"Osmanl←BeyliΠi'nin/stiklali Uzerine Olan Soylemlerde Oguz Beylerinin Toplantisi(オスマン君侯国独立の言説における「オグズの集議」)," Comite International D'Etudes Pre-Ottomanes et Ottomanes(CIEPO前オスマン朝及びオスマン朝研究国際会議),16th, Warsaw University, 18 June 2004の二度、口頭発表を行った。
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Research Products
(3 results)