2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雁木 美衣 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 同期的周期的発火 / 網膜 / 神経節細胞 / 逃避行動 |
Research Abstract |
神経系の様々な部位で複数細胞が周期的活動を伴い同期発火する現象が報告されている。特に視覚系では特徴次元ごとに異なる経路で処理された情報を統合するのに同期発火が利用されているという説が提唱されている。しかし、このような神経活動が実際に機能的意義を持つのかどうかは未だ不明である。そこで我々はカエルの視覚誘発性逃避行動と、網膜における同期的周期的発火の関係について検討し、この神経活動が機能的意義を持っているのかどうか検討した。 黒スポットが拡大する刺激をモニタ上に呈示することで、カエルの逃避行動を誘発することができた。この逃避行動にはサイズ依存性があり、拡大刺激の最終サイズが大きいほど逃避率が高くなった。 網膜において、逃避行動に関与すると考えられているOFF持続型の神経節細胞(1細胞)から同じ刺激に対する応答を記録した。その結果、行動実験と同様に拡大刺激の最終サイズが大きいほど周期的発火が顕著になった。 そこで、周期的発火を抑制/増強した場合に逃避行動がどのように変化するのかを検討した。GABA_A受容体の阻害剤(bicuculline)とGABA_C受容体の阻害剤(TPMPA)をそれぞれ眼球内に注入すると、前者の場合は逃避行動が抑制され、後者の場合は逃避行動が促進された。 次に網膜における複数のOFF持続型神経節細胞が集団としてどのような神経活動をしているのかを検討した。黒スポットの拡大刺激を呈示すると、拡大の途中から細胞群の応答は同期的周期的になった。Bicucullineを投与すると同期的周期的発火が阻害され、同期発火がランダムな時間パターンで生じるようになった。TPMPAを投与すると同期的周期的発火が増強された。しかし、発火数、2細胞以上の同期発火回数はどちらの阻害剤条件下でも増加した。したがって逃避行動に関与するのは同期的周期的発火であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)