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2005 Fiscal Year Annual Research Report

ロマン主義的批評-Fr.シュレーゲルとシューマンを手掛りとする超分野的批判の試み

Research Project

Project/Area Number 04J10449
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

中村 恵美子  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

Keywordsシュレーゲル / ティーク / ロマン主義 / 批評 / イロニー / ロマン的イロニー / アラベスク
Research Abstract

本年度は、Fr.シュレーゲルのイロニーおよびアラベスク概念に関する論考を二本提出している。第一のものはティークの『長靴を履いた牡猫』をロマン的イロニーとの連関のうちに分析した「エルゴンなきパレルゴン-ティークの『牡猫』における"イロニー"」(『シェリング論集第5集』)である。ドイツ文学批評史がこれまで、『牡猫』をロマン的イロニーが駆使された典型的作品とみなし、それをいわば定式のように語ってきた一方で、当のシュレーゲルが一言足りともそのような言説を残していない-この事実は従来見逃されてきたか、あるいは意図的に等閑に付されてきた-この矛盾を論述の起点とし、原因を解明しようと試みたものである。「自己創造と自己破壊の絶え間ない交代」というシュレーゲル自身のイロニー定義に鑑みるとき、このディアレクティークの成立に不可欠である自己創造のモメントが『牡猫』に欠けているという仮説を提起し、作品分析を通じてこれを証明している。ロマン的イロニー理解における一つの歴史的な誤解を指摘したものである。
第二の論考は「Fr.シュレーゲルのアラベスク概念解明のために-セルバンテスとスターンを中心として」(『詩・言語』第64号)である。批評を内在させる芸術作品において、イロニーは自己批判的、自己破壊的な契機を、アラベスクは種々の諸要素をつなぎとめる構築的契機を担い、両者は一対のものとして、いわば理論を内包する混沌たるロマン主義芸術作品を成立させる不可欠の要素となっているにもかかわらず、その一翼を担うアラベスクの究明は、従来の研究においてなおざりにされてきた。本論考はあえてドイツ文学の域を超え、シュレーゲルがアラベスク的と批評したセルバンテスとスターンの作品の中から、『ドン・キホーテ』『トリストラム・シャンディ』を分析対象として取り上げ、両作品に通底する作品構成に着目しつつ、アラベスク概念の解明を試みたものである。

  • Research Products

    (2 results)

All 2006 2005

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] エルゴンなきパレルゴン-ティークの『牡猫』における"イロニー"-2006

    • Author(s)
      中村 恵美子
    • Journal Title

      シェリング論集第5集 (印刷中)

  • [Journal Article] Fr.シュレーゲルのアラベスク概念解明のために-セルバンテスとスターンを中心として2005

    • Author(s)
      中村 恵美子
    • Journal Title

      詩・言語 64号(印刷中)

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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