2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 康二 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 企業グループ / 役員供給 / 系列 / コンプライアンス / 取引関係 |
Research Abstract |
本年度においては、期初の計画に基づき、以下の作業を行なった。 第一に、かねてより用いていた「連結雇用システム」概念を再検討し、これを人事労務管理、ないしは雇用慣行と呼び替え、それらにかんする先行研究のなかに位置づけるべきとの結論を得た。 第二に、国内上場企業の有価証券報告書を資料として、1985年から現在にかけての、企業グループ内(中核企業および子会社)の役員構成の変化を数量的に跡付けた。その結果、多少の変動はあるものの、出資比率や企業規模、設立後経過年数をコントロールすれば、中核企業から子会社へ安定的に人材が供給されていることが明らかになった。また、同時に、これら役員供給構造には、企業グループごとの差が大きいことも確認された。 第三に、2つの企業グループにおいて、企業グループ内人材派遣会社(いわゆる系列系派遣会社)の役割にかんする調査を行なった。その結果、そこにおいて包括的な人材供給がなされる要因としては、人事労務管理上の方針だけでなく、企業グループ内でのコンプライアンスにかかわる共通方針、顧客となる中核企業・子会社と当該派遣会社との取引関係的特性などが指摘できることを明らかにし、企業グループ内における人事労務管理、雇用慣行の特性を分析するためには、人的資源論と取引関係論とを接合した枠組みが求められることを確認した。 第四に、近接分野である計量経済学における、近年のミクロデータを用いた実証分析をレビューし、企業合併など組織再編にともなう正社員層の雇用変動、賃金変動の実態について確認した。
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