2005 Fiscal Year Annual Research Report
指導と評価の相互作用プロセスに着目した、自己学習力を育成する教育プログラムの開発
Project/Area Number |
04J10469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 航 東京大学, 大学院教育学研究科
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Keywords | テスト / 新しい評価 / 学習方略 / 総合学習 / インフォームドアセスメント / 自己制御 / 学習評価 |
Research Abstract |
昨年度まで,学習評価のあり方が学習者の方略使用に影響を与えていることを明らかにした.本年度は,さらにその問いを深め,学習評価が学習方略に影響を与えている際に,どのようなメカニズムが働いているのかを検討することとした.大学生を対象としたいくつかの実験研究を通して,学習者の方略変容には"空所補充型テストには暗記が有効である"といった,テストに対する信念(テスト形式スキーマ)が関与していることが明らかになった.そこで,中学生を対象にした授業実験を実施し,テスト形式スキーマへの介入を行った.その結果,テスト形式スキーマへの介入によって,"空所補充型テストが暗記を促進する"というネガティブな効果を抑制することが示された.こうした"テスト形式スキーマ"へ介入することの有効性は,先行研究の文献展望を通しても明らかになった.このような知見を踏まえ,学習者に評価の意図や目的をしっかりと伝えるような学習評価のあり方を"インフォームドアセスメント"と名づけ,その有用性を展望論文を通して提唱した.特に,近年の新しい評価(alternative assessment)が成果をあげるためには,このインフォームドアセスメントという視点が不可欠であることを主張した. 次に,指導と評価の相互作用をより詳細に検討するため,高校生の総合学習に関する探索的な研究を行った.定量的な調査と,質的なインタビューデータを通す中で,学習者のパフォーマンスを促進するためには,一方向的な評価だけでなく,双方向的なサポート(支援)のあり方が重要であることを示した.
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Research Products
(6 results)