2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の社会像の検討-「子ども」と「社会」の関係性イメージを切り口にして
Project/Area Number |
04J10545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
元森 絵里子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歴史社会学 / 社会意識 / 社会化 / 社会像 / 子ども観 / 作文 |
Research Abstract |
本研究は、「子ども」と「大人」双方の子ども観や社会像を表す言説を収集・分析することで、「社会」の存続の鍵に「子ども」を見る社会観を問い直すものである。本年度は、補助金を受けて、効率的な資料収集・分析を行うことができた。 第1に、子どもの言説資料の収集を集中的に行った。以前より収集していた中学校の生徒会誌を追加収集した他、毎日中学生新聞の投書欄を1983年から最新のものまですべて網羅的に収集・分析した。20年分の学校、友人、自分に関する投書の量と内容の変遷を分析することで、「社会化の揺らぎ」「子ども期の消滅」などと言われる近年の子どもの変化について、「子ども」概念のずれとして描き直し、同時に「自分らしさ」の論理が教育(社会化)の領域に入ってきたことの意味を検討した。成果は、第11回日本子ども社会学会(2004,6、博多)で報告した他、元森(2005)として発表予定である。なお、当初の見込みより都内で入手可能な資料が多かったので、旅費の予定分を複写費や文献購入費、記録・整理用のOA機器購入に当て、より効率的な分析が行えた。 第2に、公的教育(社会化)へのアンチテーゼとも見られがちな市民活動の資料収集を行った。中でも、東京都世田谷区を中心とするプレーパーク活動を集中的に検討し、一方で、近代社会の持つ大人と子どもの権力性の究極的な回避しがたさ、社会化図式の否定しがたさと、他方で、それが極小化する瞬間の存在を記述する試みを行っている。成果は、第77回日本社会学会(2004,11、熊本)で報告した他、論文として執筆中である。 第3に、社会化論に関する理論的検討のための文献収集を行った。古典的な理論的文献の他、国内で社会化論が受容され批判された過程を分析するために、社会化に言及した書籍・論文を網羅的に収集、分析した。資料のリストアップと収集は、謝金を支出し人員を雇うことで効率的に行うことができた。
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Research Products
(3 results)