2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 剛志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カンボジア / 農業 / 農村 / 効率性 / 協調行動 |
Research Abstract |
研究課題の通り、カンボジアの農村・農家に焦点を当てた研究を行った。本年の研究は、研究課題の基礎的な部分に着手したつもりであり、大きく2つに分けることができる。第1は、農家の稲作における生産効率が妨げられている要因の分析について、第2は、農村内での協調的な行動の把握と計量化についてである。 第1の研究について、自家消費を通じた農産物市場の不完全性が、生産効率を妨げている可能性があることを日本農業経済学会において報告した。この報告によって、自家消費から早期脱却を果たすことができる総合生産性の向上の必要性があることを示した。 第2の研究について、カンボジア農村において交換労働のような村レベルでの協調行動を生じさせる要因は何かについて日本農業経済学会TEA秋季大会で報告した。この報告によって、農村内で行われている相互扶助的なものが、ゲーム論的な将来への期待と過去の実績が農村構成主体である農民の協力を生じさせる要因として最も大きな役割を演じていることを示した。 また、既に『農業経営研究』に掲載された論文でも、村レベルでの協調的な行動が、消費平準化に寄与し、モラルエコノミーを生みだしている可能性について触れている。結果は、消費の平準化がカンボジア農村において行われている可能性を示唆しており、今度更なる検討が必要である。 年次計画において示した、複合契約が農家に与える影響については、この2年の間に契約の形骸化が確認されており、計量化が困難な状況となった。そのため実績として残すことができていない。しかし、農家に与えた影響については博士論文の1章を割いて文章化した。
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Research Products
(1 results)