2004 Fiscal Year Annual Research Report
弦/M理論とゲージ理論との対応関係の検証及び解明-自由度の対応を中心として
Project/Area Number |
04J10606
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
島田 英彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 弦理論 / ゲージ理論 |
Research Abstract |
弦理論の新しい描象を与えうる試みとしてある曲がった空間(AdS空間)上の弦理論とgauge理論の対応が議論されている.大きな特徴は,弦理論のAdS空間の境界付近での振る舞いがgauge理論と関係する,というHolographyである.近似法(pp-wave近似)の発展により弦のmassive modeを最近扱えるようになった.しかしその近似法のHolographyへの適用は未だ不明な点が多く不十分だった.この問題について次の成果を得た(preprint hep-th/0410049). まず超重力場の理論levelで知られていたHolographyの関係を弦の場の理論(SFT)levelに拡張出来る事を示した.実際の計算では,厳密なSFTが構成されていない事から,その近似であるpp-wave背景上のSFTを用いる.その際にpp-wave背景上での自然な遷移振幅を,近似を行わないAdS背景上の自然な物理量で書き表さねばならない.私はそのような一種の部分波展開を具体的に構成した.まずpp-wave近似のもとで自然な遷移振幅を定義するAdS空間上の基底系を見出した.そしてそれによりAdS空間上のpropagatorを展開出来る事を示した.この展開の持つある興味深い性質を用い,gauge理論の物理量をSFTの遷移振幅の無限級数によって表す表式を得た.物理量が1対1の関係に無く,無限級数によって関係づくという事実は新しい知見である. 無限級数の各項は元来場の再定義に起因する不定性を持つ.しかしこの手法では級数の足しあげにより不定性が吸収され,結果は一意的に定まる.この性質によりgauge理論側の計算と全く独立に弦理論側の計算を行って両者を比較出来るという利点がある.いくつかのclassの例についての計算を行い,gauge理論側と一致する結果を得た.
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