2005 Fiscal Year Annual Research Report
弦/M理論とゲージ理論との対応関係の検証及び解明-自由度の対応を中心として
Project/Area Number |
04J10606
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
島田 英彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦理論 / 場の理論 |
Research Abstract |
AdS/CFT対応(AdS空間上の弦理論と4次元のgauge理論が対応するという予想)をより直接的に理解する事を目指し以下の研究を行った。平坦空間中の弦理論の作用を行列正則化で離散化した大N行列を自由度とする0次元ゲージ理論(行列模型)が実際の弦理論と等価であると予想されている。この構成を一般化し,AdS空間を背景とする弦の作用の離散化によるAdS空間中の行列模型の構成を目標とした。一般にゲージ群の大きい場合0次元のゲージ理論と高次元のゲージ理論の対応は直接的に議論できることが知られており,その枠組みからAdS/CFT対応を議論できるようになる事が期待される。 一般にこのような曲った時空中では弦理論の自由度である座標が対称性の非線形表現となるため,有限Nの行列模型はその対称性を失う。私は対称性の線形表現に拘束条件を課して元々の非線形表現を再現することにより,この困難点を解消した。Bosonicな自由度,対称性に対してこの操作が可能であることは明らかであるが,Fermionicな自由度を含めて全超対称性についての構成は知られていなかった。更にこの表現での超弦理論の作用を得た(発表予定)。 また行列正則化(行列模型の自由度と弦理論等の2次元膜の連続的自由度との関係)のトポロジーに関する性質を理解するために,膜の3次元空間中への多項式による埋めこみが有用である事を示した(Arnlind, Bordemann, Hofer, Hoppe氏との共同研究)。埋め込みは座標の間に自然なPoisson括弧を定義する。拘束条件及びその代数を行列側に焼き直し,更に一部の場合に対して代数の表現を解析的に求めた。特に多項式のパラメーターに膜のトポロジーが依存するが,その変化が行列側にどの様に反映するかを明らかにした。
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