2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 卓史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ランダム行列 / 確率モデル / 表面成長 / 数理物理学 |
Research Abstract |
一次元多核成長模型に代表される一次元KPZ普遍クラスに属する非平衡確率モデルの数理構造について研究した。特にランダム行列理論との関連について考察した。 まず、外場のある多核成長模型の高さゆらぎについて研究を行い、それが外場のあるランダム行列の最大固有値ゆらぎや、ある境界条件をもった非交差多体ブラウン運動模型の一番外側の粒子のゆらぎと等しいことを示した。 さらに、私は両側が任意の場所にピン止めされた非交差多体ブラウン運動の相関関数の振る舞いの考察を試みた。これは、外場のある多核成長模型の数理構造の一般化とみなせる。また各粒子の軌跡を界面とみなすならば、この系は界面の運動の境界条件依存性を考察することになる。このような系の相関関数の解析は、ランダム行列理論の直交多項式の方法の一般化や離散化が必要になってくる。この研究は現在も継続中である。 次に私はこれまで議論されて来なかった多核成長模型の多時刻相関関数を考察した。そのために、ヤング図形の確率的な時間発展を考察した。そのグリーン関数や多時刻の分布関数はシューア関数の積で書けることが分かった。それを用いることにより、多核成長模型の高さの多時刻分布関数はダイソンのブラウン運動模型と呼ばれる動的なランダム行列模型の最大固有値の運動と等しいことが分かった。さらにこのヤング図形の時間発展のグリーン関数は、連続極限においてダイソンのブラウン運動模型のグリーン関数に一致することを明らかにした。したがって、このヤング図形の時間発展はダイソンのブラウン運動模型の固有値の離散化とみなせることが分かった。
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Research Products
(1 results)