2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 卓史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | KPZ普遍クラス / ランダム行列 / 界面成長 |
Research Abstract |
一次元多核成長(PNG)模型は界面成長の模型であり、Kardar-Parisi-Zhang (KPZ)普遍クラスに属することが知られている。最近PNG模型において、高さゆらぎのスケーリング指数だけでなく分布関数そのものが厳密に計算され、それがランダム行列の最大固有値分布(Tracy-Widom分布)に等しいことが判明し注目されている。 本年度は無限系PNGモデルについて両端に外場を加えた時に、高さゆらぎがどのように変化するのかを考察した。具体的には、高さゆらぎの同時刻多点分布関数を解析的に導出した。その結果、外場の大きさがある一定の値に達すると分布関数が変化することがわかった。これによってPNGモデルの高さゆらぎの性質を、境界条件によって詳細に分類することができた。 さらに、上で得られた分布関数がランダム行列理論としてどのように解釈できるかを考察した。その結果、PNGモデルの高さゆらぎの分布関数は、外場の値が一定の値に達すると、外場のあるランダム行列の最大固有値分布に等しいことが判明した。またPNGモデルと関連する非交差ブラウン粒子系を議論し、外場のあるランダム行列が確率過程としてどのような意味を持つのかを考察した。 以上のように、本研究では1+1KPZ系の高さゆらぎについて、スケーリング指数では得られないような詳細な情報を、ランダム行列理論の視点を持つことで解析することが出来た。この結果は低次元非平衡系のゆらぎに関する理解とランダム行列の数理構造およびその確率過程としての意味の両方に影響を与えるものである。
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Research Products
(2 results)