2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 聖子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 物理分散 / トモグラフィー / 減衰 / 波形相関 / リファレンス周波数 |
Research Abstract |
報告者はこれまでの研究において,短周期帯域におけるS波とP波の走時残差の測定法を,波形相関を用いることによって確立した.この波形相関法は報告者の目的であるトモグラフィーのための走時データを短時間に大量に得る有効な手法である.同様の手法は,カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループによって長周期帯域に適用されている.報告者は東京大学地球惑星科学科の21世紀COE海外インターンシップにより,カリフォルニア大学グループを訪問し,彼らの長周期データと報告者の短周期データとの比較,考察を行った. 訪問先の手法と報告者との手法でもっとも異なるのは,震源関数の設定と物理分散のリファレンス周波数の設定,の二点である.報告者の手法ではP波から直接S波を合成するため震源関数を仮定する必要がないのに対し,訪問先の手法ではP波S波とも震源関数にデルタ関数を仮定している.訪問先データに見られる地震モーメントとの正の相関はこのデルタ関数の仮定が妥当ではないことを示唆する.これに関してはデルタ関数の代わりにCMT解のhalf durationをもつ三角波を使うことで解決できることがわかった. 二点目の物理分散のリファレンス周波数については,報告者は修士での研究において遠地実体波の立ち上がりに相当するような周波数は2Hzであるという結果を得ている(Oki et al.,2004.JGR.).それに対し,訪問先のグループは0.5Hzを使用している.彼らの用いた理論式と両データとの残差からリファレンス周波数を求めることができ,[Oki et al.,2004]と整合的な2Hzという値を得た.この値を用いて様々な非弾性モデルで長周期データを補正してみたところ,どのモデルでも2秒の残差を解消できていることが分かった.(投稿準備中)
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Research Products
(1 results)