2004 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質、ニュートリノ検出を目的とした指向性のある検出器の開発
Project/Area Number |
04J10668
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 雄輝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 暗黒物質 / WIMP / シンチレーション検出器 / 低放射能 / 低バックグラウンド / ニュートラリーノ / 超対称性粒子 / 無機シンチレーター |
Research Abstract |
指向性のある検出器となるスチルベンシンチレーターを用いてWeakly Interacting Massive Particle (WIMP)の到来方向に感度のある観測実験を宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設の地下実験室にて行った。あらかじめ放射能が少ないことを調べた材料を用いて検出器を構成して実験を行ったが、得られたイベントレートは2000 counts/k.e.e. (keV electron equivalent)/day/kgと極めて高い値となった。このイベントレートはバックグラウンドが支配的であるが、原因はスチルベン結晶内部のものと検出器を構成する光電子増倍管やシールドなどの外部のものの両方の可能性がある。バックグラウンドの原因を特定し低減するため、より理解しやすいと考えられる検出器構成による実験を行った。低バックグラウンド仕様のCaF_2(Eu)シンチレーターをターゲットとし、低バックグラウンドPMTとしてXMASS実験で開発されたR8778を使用、放射性不純物の少ないシールドとして6N高純度銅を用いた実験を神岡地下実験室で行った。その結果イベントレートを10 k.e.e.以下で約10 counts/k.e.e./day/kgまで下げることができた。この実験からスチルベンシンチレーターを用いた際のバックグラウンドはスチルベン内部の放射線によるもの及びスチルベンシンチレーターの発光量が少ないことに起因する暗電流イベントによるものであることが分かった。また、実験により得られたスペクトルの解析から原子核のスピンに依存する相互作用でのWIMP-陽子カップリングa_p、WIMP-中性子カップリングa_nに対する制限を導出した。この結果によりイタリアのDAMAグループによるWIMP季節変化の観測によるa_p-a_n平面での許容領域の多くの部分を制限することができた。
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