2004 Fiscal Year Annual Research Report
バルジ天体のX線観測による中心核大質量ブラックホールの進化の解明
Project/Area Number |
04J10716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 英之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河系バルジ / ROSAT All-Sky Survey / 低質量X線連星系 / Log N-Log S関係 / 光度関数 / The Mouse (G359.23-0.82) / Astro-E2衛星 / X線望遠鏡 |
Research Abstract |
XMM-Newton衛星で観測された、電波パルサーG359.23-0.82(The Mouse)及び、近傍の2つの低質量X線連星系(以後LMXBs)SLX 1744-299,300に関して解析を行った。The MouseのX線スペクトルは指数1.9のベキ型関数で表され、視線方向の吸収も2.60×10^<22>cm^<-2>と精度良く決定できた。一方、銀河系中心領域に位置するSLX天体のスペクトルは、ベキ型関数または中性子星表面と降着円盤からの黒体輻射で再現でき、その吸収量は4×10^<22>cm^<-2>であった。この結果は、The Mouseが銀河系中心領域にあるというこれまでの考えと矛盾し、むしろ比較的手前に位置することを示唆している。 次にROSAT All-Sky Surveyで検出された、比較的明るいX線源の吸収量をそのスペクトルの色から推定し、銀河系ディスクによるX線吸収量のモデルと比較した。The Mouseの解析と同様に、吸収量の小さいX線源は、手前に位置するものとして取り除いた。残りのX線源の個数密度を、銀河系中心からの離角の関数として表したところ、銀河系中心周りのX線源の集中を発見した。このスケール角度は4.1°であり、赤外線などで観測される銀河系バルジの大きさと対応していた。これら銀河系バルジにあると考えられるX線源を用いて、個数密度とX線フラックスの関係(log N-log S関係)を構築した。さらに、銀河系バルジの大きさ(約1.7kpc)による、各天体までの距離の不定性を考慮して、10^<34>から10^<38>erg/sに渡る銀河系バルジの光度関数を導くことに初めて成功した。 また本研究の今後の展開のために必要なAstro-E2衛星に搭載される、X線望遠鏡の低バックグラウンド化を目指して、迷光防止用プリコリメータの開発・製作を行ってきたので、その成果を論文にまとめた。
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Research Products
(4 results)