Research Abstract |
液滴ベースのマイクロ流体デバイス内を輸送される微小液滴の内部流動を可視化計測するために,本年度は,新たなマイクロ流れ計測ツールとして,共焦点マイクロPIVシステムを開発・構築した.高速共焦点スキャナユニットを中心に,高輝度CWレーザ,高速度高感度カメラ,高NA対物レンズを組み合わせることで,共焦点マイクロPIVシステムの構築に成功した.共焦点マイクロPIVシステムを用いると,マイクロ流路内を流れるサブミクロンサイズのトレーサ粒子群を,毎秒1000コマで共焦点撮影および速度分布計測が可能である.倍率の異なる対物レンズ(20x,40x,63x)と直径の異なるトレーサ粒子(0.3ミクロン,0.5ミクロン,1ミクロン)を組み合わせて用いることで,さまざまなサイズの流路に対応することができる.例えば40x対物レンズと直径0.5ミクロンのトレーサ粒子を用いた場合,共焦点マイクロPIV計測が可能な領域は約0.24mm×0.18mmとなり,被写界深度1.8ミクロンでマイクロ流路の断面速度分布計測が可能であることが確認された.本計測システムでは高速度カメラを採用しているため,共焦点観察および共焦点マイクロPIVにおいて,時系列で可視化・計測が可能である. 本年度はさらに,計測対象となる微小液滴を生成するデバイスの設計・製作を行った.とくに流路幅,流路深さ,作動流体,流量条件などの検討を行い,共焦点マイクロPIV計測に適した流れ場構築を目指した.その結果,液滴生成流路として,PDMSで製作した流路幅0.1mmのT字型マイクロチャネルに,シリコンオイルとグリセリン水溶液を合流させて行う液滴生成がもっとも単純で計測に理想的な条件であることが分かった.
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