2004 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブの基板上直接生成と光学・熱デバイスへの応用
Project/Area Number |
04J10754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 陽一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 化学気相成長 / 光物性 / 垂直配向 / 触媒 / 異方性 |
Research Abstract |
本年度はまず,前年度に世界で初めて開発に成功した垂直配向単層カーボンナノチューブ膜の成長過程を解明すべく,研究を進めた.具体的にはCVD炉内にレーザー光を入射し,垂直配向単層カーボンナノチューブ膜の光透過量変化から成長過程のリアルタイム測定を行い,膜成長速度がCVD時間と共に低下し,やがて成長停止することを示した.そこで,成長挙動を説明すべく触媒失活に基づいたモデルを構築し,実験で計測された成長曲線の説明に成功した.また,この原因がエタノールからの水に起因した酸化失活であるという手がかりを得ることができた. 同時に,この垂直配向単層カーボンナノチューブ膜を用いることにより,単層カーボンナノチューブの偏光に依存した光物性解明を精力的に進めてきた.主な成果として,世界で初めて赤外-紫外にわたり単層カーボンナノチューブの光吸収特性及びその偏光依存性の解明に成功し,かつその著しい紫外吸収の由来を説明することに成功した.またその吸収由来をグラファイトの光吸収特性と関連を示したことで,非常に有益な知見が得られた. また,垂直配向単層カーボンナノチューブ膜を用いた偏光ラマン測定からは,スペクトル形状が入射偏光条件によって著しく異なるスペクトル形状を示すことを発見した.このような偏光依存性測定のみならず,分子吸着などによっても著しいスペクトル変化を示した.これは共鳴条件は偏光或いは周囲環境で大きく変化し,ナノチューブ固有のスペクトルではないことを明白に示している.またこの結果は,従来報告されているナノチューブ軸と直交する場合の共鳴理論と矛盾しない. 以上のように,本年度は,1)垂直配向単層カーボンナノチューブ膜の成長過程解明,2)単層カーボンナノチューブの偏光に依存した光吸収特性,及びその3)ラマン散乱特性,を解明するに至った.
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Research Products
(2 results)