2005 Fiscal Year Annual Research Report
FBG光ファイバセンサを埋め込んだ積層板の逆問題解析による損傷同定
Project/Area Number |
04J10761
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢代 茂樹 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 複合材料 / 応力集中 / 有限要素法 / 逆問題 / 損傷同定 / 層間はく離 |
Research Abstract |
複合材料積層板におけるボルト孔などの応力集中部の近傍では,スプリッティング,トランスバースクラックならびに層間はく離が同時に発生する複雑な損傷プロセスを示す。このような複数損傷を検知・監視することは,構造物の健全性を評価する上で必要不可欠である。 本研究では,有孔CFRPクロスプライ積層板に発生する損傷の形態を同定するための,埋め込みFBGセンサを利用した2つの新たな手法を提案した。引張試験において,埋め込みFBGセンサの反射光スペクトルは,円孔近傍に発生するスプリッティング,トランスバースクラック,および層間はく離の進展に伴って大きく変化した。この実験結果に対して順解析(損傷解析,光学解析)のみ,負荷ひずみ推定つき順解析,および新たな損傷同定手法を適用した。損傷形態の推定精度と計算効率の観点から,負荷ひずみ推定つき順解析によって最も良い推定が得られることを示した。さらに,損傷同定において,損傷解析から得られる損傷形態を推定の初期値として利用することで,従来(昨年度に提案)の同定手法と同等の推定精度を保つと同時に大幅な計算時間の短縮を実現した。 さらに本研究では,格子間隔分布に単調変化を設けたチャープFBGセンサを損傷同定に適用した。まず,有孔CFRPクロスプライ積層板の引張試験を行い,トランスバースクラックや層間はく離の進展に伴って,埋め込みチャープFBGセンサの反射光スペクトルが特定の波長でのみ変化することを示した。逆問題解析に基づくゲージ部のひずみ分布推定を実施し,チャープFBGセンサの反射光スペクトルの波長がひずみ分布を介して損傷形態と一対一対応していることを示した。さらに,スペクトル形状を用いた無負荷時の損傷同定を実施し,チャープFBGセンサの反射光スペクトルが有する位置情報が同定に有益であることを示した。
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