2004 Fiscal Year Annual Research Report
コクセター群や関連する群・環の構造と、数え上げ組合せ論の未解決問題との統合的研究
Project/Area Number |
04J10825
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
縫田 光司 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 数理科学 / コクセター群 / 同型問題 / 直既約性 / 自己同型群 |
Research Abstract |
私が今年度に行った研究の最大の成果は、コクセター群の「同型問題」(コクセター群の同型類の分類問題)に関する諸結果である。それらは、以前の私の研究で得られていたコクセター群の放物型部分群の中心化群の記述や、コクセター群に付随するルート系という対象の性質を用いた組合せ論的議論に基づいている。この同型問題は、コクセター群の研究が進んだ現在においてもなお、研究者の間で難問として知られている。まず私はこの同型問題を、既約コクセター群という比較的簡単な場合に帰着させることに成功した。なお、同型問題に関する他の先行結果の殆どは既約コクセター群に限定したものである。このことから、私が示した結果は世界の研究者の間でその証明が待ち望まれてきた、極めて重要なものであると考えられる。そしてその副産物として、これも長年未解決であった無限既約コクセター群の直既約性を証明し、コクセター群におけるある種の正規部分群の中心化群の構造を全て決定し、またコクセター群の自己同型群のある記述を得た。この記述を得たことで、任意の有限コクセター群の自己同型写像の数え上げ問題を容易かつ統一的に扱うことが可能になった。これらの結果をまとめた論文(インターネット上で閲覧可能)を現在学術誌に投稿中である。更に私はごく最近、同型問題の完全解決へ向けた第一歩となる、コクセター群の「鏡映独立」という性質を解析するための有効な手法を発見した。鏡映独立なコクセター群に制限した同型問題に関しては、ある有力な予想が数年前に提示されているが、そこに私の手法によって導かれるであろう鏡映独立性に関する結果を加えることで、同型問題の完全解決への有力な指針が得られることになる。この鏡映独立性については、過去にも他の研究者によって様々な視点から調べられてきたが、私の手法はそれらの先行結果を包含し、かつそれらの統一的な解釈を与えるものである。
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