2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起における非線形な入力加算を考慮した大脳皮質の神経回路モデルの研究
Project/Area Number |
04J10834
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 賢治 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GABA / 樹状突起 / 非線形力学系 / 分岐 / 神経回路 / ニューラルネットワーク / 大脳皮質 / 平衡電位 |
Research Abstract |
まず初めに、GABA性(抑制性)シナプスの平衡電位の値が、興奮性シナプス入力との間の非線形相互作用に与える影響について解析した。その結果、一定の興奮性入力を受けて周期発火している神経細胞において、加えるGABA性入力の強度を増やしていった場合に発火が停止する機構に関して、GABA性シナプスの平衡電位の値によって異なる分岐が生じ、力学系的観点からの分類ができる可能性が示唆された。また、活動中の脳における神経細胞への入力は、場合によっては非常に大きな揺らぎを持つことが実験的に知られているが、本研究では、GABA性シナプスの平衡電位の値の違いが、そのように入力が非常に大きな揺らぎを持つ場合の神経細胞の入出力関係に対して与える影響についても考察し、最近の実験的報告にあるようにGABA性シナプスの平衡電位が静止電位よりも高いような場合には、GABA性入力は自身と相関の強い興奮性入力に対する発火率応答を特異的に低減させうる、という実験的に検証可能な仮説を提示した。次に、神経細胞の樹状突起における非線形な入力間相互作用が神経回路全体としてのダイナミクスに及ぼす効果に関して解析した。樹状突起における興奮性およびGABA性(抑制性)入力の非線形な相互作用を表現した新規な神経回路モデルを提案し、数値シミュレーションによって、そのモデルがamplitude invariantなinput-selective responseを示すことを見出した。さらに、一つの神経細胞あたりの樹状突起の個数を多くしていった場合の極限におけるモデルの解析的な表式を導出し、それを用いて平衡解の数値計算および局所安定性解析を行った。その結果はシミュレーション結果と良く一致し、モデルの動力学的な特性が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)