2004 Fiscal Year Annual Research Report
人体を媒体とした情報通信システムにおける伝送メカニズムの解明及びデバイスの開発
Project/Area Number |
04J10851
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
蜂須賀 啓介 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウェアラブル / 人体内通信 / 四端子回路網 / ゲイン / 電極 / 周波数 / Personal Area Network / 電磁界解析 |
Research Abstract |
人体内通信に最適な電極配置および搬送周波数を調べるため,人体の電気的特性の測定および人体腕部のモデル化を行った.まず,腕を挟むようにして送受信機の4枚の電極すべてを人体表面に貼りつける方式(4電極モデル)と,送受信機とも1電極ずつのみを人体に貼付して残りの電極を周囲環境との結合のために積極的に利用できる方式(2電極モデル)を,それぞれ四端子回路網により記述した.簡単のため,すべての電極間インピーダンス成分は静電容量のみとした.MATLABをベースにした電磁界解析によって送受信機間距離(50〜300mm)・周波数(1〜1000kHz)に対応した静電容量を求め,理論式に代入して出力開放時のゲインを求めた. 一方,実際の人体腕部を用いてゲイン測定実験を行い,ゲイン曲線が理論値と実験値で良好に一致することを確認した.また,2電極モデルは4電極モデルに比べ20dB以上も大きなゲインが得られるだけでなく,送受信機間距離や周波数への依存性も小さいことが理論と実験の両面から確認でき,2電極モデルの方が高効率であることがわかった. 次に,高速伝送を可能にするためには搬送周波数を高周波化する必要があるため,人体の比誘電率と導電率の周波数依存性を考慮して,1MHz以上における人体内での電磁波の減衰定数を求めた.100MHzを超えると減衰の度合が強まり,1GHzを超えると指数関数的に減衰することが数値計算により明らかとなり,人体内通信に最適な搬送周波数は10〜50MHzと推定された.そこで,部品の入手容易さ・汎用性を考慮し,10.7MHzの正弦波送受信モジュール(30×30mm^2)を作成した.これを用いて電極配置の違いによるゲイン変動を実験的に調べ,MHz帯域においても2電極モデルのほうが優位であることを示すとともに,信号は空中に放射されるのではなく人体表面および内部を伝搬することがわかった.
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Research Products
(5 results)