2005 Fiscal Year Annual Research Report
人体を媒体とした情報通信システムにおける伝送メカニズムの解明及びデバイスの開発
Project/Area Number |
04J10851
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
蜂須賀 啓介 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウェアラブル / 人体内通信 / 良導性誘電体 / アンテナ / 電極配置 / ゲイン / Personal Area Network / 電磁界解析 |
Research Abstract |
人体内通信の信号伝送モデルとして,人体を良導性の誘電体とみなし,送信機を給電点とする線状アンテナへの給電にならった伝送モデル(良導性誘電体伝送モデル)を考案した.このモデルでは,人体内部だけでなく人体近傍の空間も含めて,人体に垂直な電界が人体表面を伝搬する.このモデルを適用することで,従来の回路網モデルでは説明できなかった開放端を含む,人体へのあらゆる電極接触状態における信号伝送について,ゲイン変動を定性的に説明できるようになった.また,電極間距離・電極面積・電極方向・信号伝送距離・姿勢・伝送経路と逆側に存在する物体の大きさ・衣服の有無などの影響を予想し,実験によって予想が正しいことを確認した.得られた知見としては, (1)送信機は2電極,受信機は1電極のみを接触させる電極接触状態でゲインが最大になる (2)送信機2電極の電極間距離・電極面積,および受信機1電極の電極面積・電極位置に関わらずゲインは一定であり,電極は人体に接触しさえすればよい (3)2電極を接触させる場合には,信号伝送方向に沿った向きに電極を並べると信号伝送が可能になるが,信号伝送方向に垂直な向きに電極を並べると信号は伝送できない (4)消費電力を小さくするためには,人体に接触する送信機2電極の電極間距離を大きくするほうがよい (5)受信機の人体に接触していない電極が大きいほど受信電圧が大きくなる (6)伝送経路と逆側に存在する人体あるいは接触する物体が大きいほど,ゲインが大きくなる などが挙げられる.これらの知見をもとにして,実用レベルに近い人体内通信デバイス(搬送周波数10.7MHz,周波数変調,基板サイズ30mm×30mm,DC3V乾電池駆動,重量5g)を作成し,可聴領域のアナログ音声情報および心拍・SpO_2・脈振幅を含む9600bpsのデジタル生体情報を一個人内で伝送することに成功した.
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Research Products
(6 results)