2004 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力環境を利用した液滴燃料の自発点火過程に及ぼす音響振動場の影響
Project/Area Number |
04J10856
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 宰 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 液滴燃焼 / 微小重力環境 / 自発点火 / 音響振動場 |
Research Abstract |
噴霧燃焼は多くの燃焼器で用いられており,その最も簡略なモデルである単一液滴の点火燃焼現象について調べることは燃焼器の安全性,高効率化,環境汚染物質の低減などの観点から重要である.実際の燃焼器中には音響振動が存在することから,音響などの外場が燃焼に与える影響について調べることは非常に興味深く,本研究では音響場が燃料液滴の点火現象に与える影響について,特に低周波数に注目して実験的に調べることを目的としている.音響場として,現象の把握,考察が容易である定在音響場を考え,対向ピストンを用いて模擬音響場を作成した.本年度は圧力変動がなく速度振動のみがある場合について重点的に実験を行った. 実験は高温炉に燃料液滴を挿入することで行われる.雰囲気圧2barもしくは3bar,雰囲気温度は850Kである.燃料は正ヘプタンであり,初期の液滴直径は約0.7mm程度である.音響周波数は1.25Hzから10Hzの間で変化させた.対向ピストンの最大ストロークは2.5mmである. 実験の結果は,音響振動場中での点火遅れ時間は静止雰囲気中での場合に比べて増加し,本研究の範囲内においてその増分は約15%程度であった.本実験の実験パラメータでは化学反応の特性時間は流体力学的な特性時間に比べて無視できるほど短くないため,音響場によって液滴への熱流入が増加し,それによる相対的な化学反応の特性時間の増加が,点火遅れ時間の増加の主要因と考えられる.一方で,音響周波数が点火遅れ時間の逆数となるときで,かつ速度の初期位相がない場合についてのみ,点火遅れ時間の減少が見られた.この点については補足実験が必要であると思われる. 一方で理論解析や数値解析との比較のため,圧力振動場のみが存在する場合の実験について継続的に実験装置の再設計および改良を行った.大気圧雰囲気で最大±80mbar程度の圧力変動を確認した.
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