2004 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動中の知覚特性を利用した視覚情報提示手法の研究
Project/Area Number |
04J10873
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 淳司 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 眼球運動 / サッカード / 視覚的持続時間 |
Research Abstract |
人間の感覚情報のなかで視覚情報は大きな割合を占めるものであり,これまで様々な視覚情報提示手法が提案されている.そして視覚情報提示において,2次元情報提示はその基礎をなすものである.一般に2次元の視覚情報を提示するためには2次元光源が必要となる.しかし,1列の光源がなんらかの運動を行う,もしくは観察者が眼球運動を行うと,1次元光源でも2次元情報を提示することが可能となる.本研究では,サッカードと呼ばれる高速眼球運動を利用した手法に着目し,2次元光源とスクリーンを利用したこれまでの提示手法とは異なる,新たな視覚情報提示手法の可能性を探り,その設計に必要な人間の視知覚特性を調べた. 具体的にはサッカード時に生じる残像の空間特性・時間特性について調べた.空間特性(残像の知覚される位置,形態)について,これまで,サッカードを利用した情報提示で使用しているような,ある時間幅を持った光点刺激(例えば,高速に連続点滅するフリッカー刺激)に対しての定位,形態を同時に調べた研究は存在していなかった.そこで,サッカードに対して様々なタイミングでフリッカー刺激を提示し,その定位される位置,形態を調べた.その結果,サッカード時に時間幅を持って提示された光点刺激の定位は,はじめに刺激間の形態表象(一点や点列)が網膜像に基づいて形成され,その形態表象をまとめて定位しているということがわかった.また,時間特性(サッカード時に知覚される残像の持続時間)について,これまでサッカード時に生じる残像がどの程度の時間,保持されるか調べられていなかった.そこで,サッカード時の残像の持続時間を,これまで調べられてきた固視時の持続時間の計測手法に倣って計測した.その結果,サッカード時の残像は固視時と同等の時間保持されていることがわかった.
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Research Products
(3 results)