2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗真菌活性四環性ジテルペンSordarinの全合成研究
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04J10911
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 俊介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Sordarin / Sordaricin / 抗真菌活性 / 酸化的ラジカル反応 / ピコリン酸マンガン / 分子内Tsuji-Trost反応 |
Research Abstract |
Sordarinは、子嚢菌Sordaria araneosaの代謝産物であり、抗真菌活性を示す。この天然物は、真菌のタンパク質合成を選択的に阻害するという従来の抗真菌剤とは異なる作用を示すため、真菌感染症に対する新しいリード化合物として注目されている。Sordarinの構造は、trans-ペルヒドロインデンと多置換ノルボルネンを含む特異な四環性ジテルペン骨格に糖が結合したものであり、合成化学的に大変興味深い。 本研究ではSordarinの全合成を試み、それを通じて未開拓であった種々の誘導体合成を行い、その構造活性相関から真菌感染症に対する新しい分子標的薬の開発を目的とする。平成16年度は、その第一段階としてアグリコンsordaricinの合成研究に着手し、そのラセミ合成を達成した。 Sordaricinのペルヒドロインデン部位の3つの連続する不斉炭素中心は、ピコリン酸マンガンによる酸化的ラジカル環化反応によって構築した。 Sordaricinの歪んだ基本骨格は、分子内にアリル炭酸エステルと活性メチン部位を有する三環性化合物から、分子内Tsuji-Trost反応によって構築することができた。本反応は多置換ビシクロ[2.2.1]ヘプテン-2-オンの一般的な合成法としても利用できる。[2.2.1]ビシクロ環骨格は、通常シクロヘキサジエンとアルケンの[4+2]付加環化反応によって構築されているが、遷移金属によるカップリング反応も、このような歪みのある化合物合成に有用であることを示すことができた。 最後に、イソプロピル基の導入、四酸化オスミウムとジヒドロキシフェニルボランを用いる末端アルケンの選択的ジヒドロキシ化を経て、(±)-sordaricinを合成した。
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Research Products
(3 results)