2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J10914
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 和嘉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フラーレン / アミノフラーレン / アミノ化 / 構造活性相関 / 遺伝子導入 / DNA / ルシフェラーゼ / 光散乱法 |
Research Abstract |
本研究は,新たな疎水骨格としてフラーレンを用いた遺伝子導入剤を開発することを目的とする.今回,フラーレン遺伝子導入剤の特性を明らかにし,さらに,大量供給可能な新たなフラーレン遺伝子導入剤を開発した. 遺伝子導入能を持つことが分かっているアミノフラーレン(第一世代アミノフラーレン)により,アミノフラーレンは既存の脂質系遺伝子導入剤とは異なり,DNAと安定な複合体を形成し,酵素による切断や血清による会合阻害の影響を受けず,さらに遺伝子安定性発現が可能である事を見いだした.これらは,流動性の高い既存の脂質系遺伝子導入剤とは異なり,フラーレンが剛直な球構造を取るからであると考えられる.また,DNAはエンドサイトーシスにより細胞内に導入されることが分かった. 第一世代アミノフラーレンは,複雑な合成工程を要し,100mg程度の合成が限度であり実用試薬としての展望は限られたものであった.これに対し,高効率高選択的アミノ化反応を開発した.この反応では,DMSO混合溶媒中で,アミンから基底状態のフラーレンへ一電子移動が起こり,一工程によりフラーレンに対するアミン四重付加反応が進行する事を見いだしている.この反応は,様々な第二級アミンにおいて進行し,種々官能基を有するアミノフラーレンをC_<60>から1工程で合成する事に成功した. 合成したアミノフラーレン(第二世代アミノフラーレン)のうち,生理条件下でカチオン性のアミンを持つものは,高いDNA結合能を有することが,エチジウムブロミドの追い出し効果によって分かった.また,ルシフェラーゼにより遺伝子導入能を調べたところ,構造活性相関により,アミノフラーレンが高い遺伝子導入能を持つためには,DNAとの結合能だけでなく,細胞内でのDNAの放出能を持つ事,複合体のサイズを数百nm以下に制御することが重要であることを見いだした.
|