2005 Fiscal Year Annual Research Report
単純アルケン・アルキンに対する金属エノラートの付加反応の開発
Project/Area Number |
04J10915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 琢次 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マグネシウムエナミド / 塩化アルキル / フッ化アルキル / SN2求核置換反応 / マイクロフロー法 / パーフルオロアルカン / MALDI-MS / スクリーニング |
Research Abstract |
金属エノラート,金属エナミドのオレフィンへの付加反応を検討する中で,窒素上に配位性官能基を有する全属エナミドがハロゲン化アルキルに対し高い求核性を有することを見出した.そこで詳細な検討を行った結果,窒素上にジエチルアミノエチル基を有するマグネシウムエナミドが,塩化アルキルやフッ化アルキルに対しても十分な反応性を示し,対応するα位アルキル化生成物を良好な収率で与えることが分かった.この際,キラルな2級の塩化アルキルを用いると不斉中心が反転した生成物が得られることから,本置換反応はS_N2型で進行していると示唆され,今後の精密有機合成への応用が期待される. さらに,これら反応開発や有機合成における反応条件検討の迅速化と環境負荷の軽減を目的として,シカゴ大学(Ismagilov研究室)で反応条件のスクリーニングシステムを開発した.まず,パーフルオロアルカンで満たされた直径150μmのテフロンチューブ中に,各々の反応試剤を含む有機溶媒の油滴を調製する.この際,不活性ガスあるいは空気をスペーサーとして各油滴の間に挿入することで,反応試剤の混合を防ぐ.このように調製した試薬カートリッジに対し,マイクロフロー装置を用いて反応基質の溶液を連続的に加えていく.次いで,得られた反応溶液(油滴)を任意の条件下で反応させた後に,MALDI-MSの測定プレートに滴下し,各々のMSスペクトルを測定することで反応の進行を確認する.酸性条件下で安定な化合物であれば,MSのピーク積分比から半定量的に生成物の収率を算出することができる.本システムでは,各々の微小な油滴(10-20nL)が独立した反応容器としての役割をなし,1mgの基質消費で1000程度の条件検討を行うことが可能である.
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Research Products
(2 results)